世界の食糧危機

1−暴動の発生も招く食糧価格高騰  2008年4月
2−韓国の食料危機

世界で食料価格の高騰が続いている。
トウモロコシ、小麦などの価格は史上最高値を記録しており、穀物全般を輸入に依存する日本も大きな影響を受け始めた。
特に小麦は4月から3割値上げされるため、日本のメーカーや消費者を直撃しそうだ。
しかし影響を受けているのは日本だけではない。
今、食料不足や食品価格高騰に対する暴動が全世界に広がっているのだ。
ブルキナファソで起こった食糧暴動(IRIN) 国連世界食糧計画(WFP)のジョゼット・シーラン事務局長は警鐘を鳴らす。
「飢餓が新しい局面を迎えている。食料は棚に陳列されているものの値段が高く、人々は購入できない。
このような都市部における脆弱性はかつて見た事がない。多くの国で食料暴動が起きている」。
価格高騰の影響は世界中で体感され始めている。

食料暴動がモロッコやイエメン、メキシコ、ギニア、モーリタニア、セネガル、ウズベキスタン等の国々で相次いで勃発しているのだ。
パキスタンでは20年ぶりに主食の配給カードを復活。
エジプトでも20年ぶりに食料品の割り当て制度を広げた。
アルゼンチンとベトナムは海外の売上税、輸出禁止を強化、中国とロシアも輸出抑制や物価統制を課すようになった。
インドネシアやメキシコ等、食糧援助の対象外だった国々も、非常事態を宣言するまでに食料事情が悪化している。

途上国には、もともとエンゲル係数の高い国々が多い(例えばバングラデシュなどでは、3分の2以上)。そこにこの食料の値上げである。
農村から移住してきた都市生活者は、高い食料を買う代わりに教育と医療、福祉を犠牲にせざるを得ない状況になってしまった。
そもそも農村から移住してきたのには訳がある。
それはWTO(世界貿易機関)等が推進してきた経済のグローバル化だ。
世界中に安い農産物が流入し、農村で生計を立ててきた人々は都市部や国外に出て働かざるをえなくなってしまったのだ。

世界では穀物生産の記録更新が続いているが(FAO) ○食料価格はなぜ高騰したか
FAO(国連食料農業機関)によれば、2007年の世界の穀物生産量は21億tで過去最高を記録したということだ。
高騰の背景には、むしろ需要側の根本的な変化がある。その原因には以下の3点があげられる。

原因その1
:先進国への食料輸入の集中や、インド・中国の食生活の変化
世界では60億の人々が食事をするのに十分過ぎる食料(1人当たり356kgの穀物)が生産されている。
問題は食料が平等に分配されていないことだ。
世界の食料、特に穀物の多くは購買力のある先進国や途上国の富裕層によって輸入されている。
その中でも大きな影響を与えているのが畜産消費だ。
1950年に4,400万tであった食肉生産量は、2003年に2億5,300万tにまで急増した。
肉を育てるためには大量の穀物が必要とされる。
畜産物1kgの生産に必要な飼料穀物量たるや牛肉で11kg、鶏肉で4kg、豚肉で7kgとされている。
世界の穀物生産の約4割が食肉のための飼料として消費されているのが現状だ。
中国・インドの肉類消費の増加による世界の穀物供給への影響も大きい。
1978年にわずか900万tだった中国の豚肉生産量は2006年には5,200万t、
世界の豚肉生産量の約半分を占めるまでに成長している。

原因その2
:バイオ燃料への農地や農産物の転換
バイオ燃料用作物面積の増加も大きな問題だ。
先進国では、アメリカを中心に食用からバイオ燃料生産に大規模に転換する動きが目立つ。
一方、途上国では、海外の企業が参入し、巨大な面積の森林や農地の買い占めが起こっている。
アマゾンやインドネシア、そしてアフリカでは、バイオ燃料用の作物栽培のために、
もともと居住していた人々が大規模に追い出されるケースも生まれている。
インドネシアの西カリマンタン地域では、パーム油のプランテーション拡大により、
多くの「バイオ難民」が発生し、国連も警告を発した。
FAOはバイオ燃料用に使用された穀物は少なく見積もっても1億tに上るとしている。

原因其の3
:気候温暖化による天候不順の影響 
気候温暖化により世界中で異常気象の頻発や天候不順が起こっており、農作物への被害が拡大している。
世界の穀物需給に影響を及ぼす豪州の小麦が2年連続干ばつで大不作に陥った。現地では依然降雨量が少なく、
水不足が続いている。
日本もうどん等の麺用中心に広く豪州産小麦を使用しているため、ここ数年影響が広がっている。
中国ではこの冬、50年ぶりの大雪で日本の農地面積の2.5倍、1,200万haの農地に被害が及んだ。
特に植物油用の菜種への被害が甚大で、世界の穀物価格にも影響を与え始めている。
この記事は、アソシエーション研究所「News Clip」から転載しました。
2−韓国の食料危機

世界的な食糧危機、なすすべのない韓国(上)

金を払っても食えない時代、「食糧戦争」到来か
 世界は今「食糧危機」に直面している。穀物生産が不足し在庫までも減少しつつある。
米国農務省は今年の世界の穀物生産量は消費量に比べて2900万トン不足し、穀物の在庫率(年末時点での在庫量/年間消費量)
も史上最低レベルの14.6%にまで落ち込むと予想した。
さらにロシアやウクライナ、中国、アルゼンチンなど穀物生産国はさまざまな輸出制限措置を取っている。
世界的に食糧問題が緊急の課題として浮上しているが、穀物の海外依存度が高い韓国はこの状況にまったく対応できていない。
日々高騰を続ける穀物価格が物価を押し上げるアグフレーション(農業+インフレ)に直面しているのはもちろん、金を払っても穀物を買うことができず、韓国国民4700万人の食卓が脅威を受ける食糧安全保障問題に直面する恐れが現実化している。
実際に韓国の昨年の穀物輸入量は、前年に比べると額では34.8%増加したが、量は2.6%減少した。

より多くの金を払っても、わずかな量しか買えなくなっているということだ。
これらの現象は石油ショックにちなんだ名称「穀物ショック」の前兆とも読み取れる。
穀物ショックは、一時的な需給不均衡の時期さえ過ぎ去れば解決するような問題ではない。
韓国国内や海外で農地を確保して直接農業を営むか、
あるいは安定した輸入先を確保するという根本的な対策が必要だ。
しかし韓国政府はこれまでこのような努力を怠ってきた。
現実的な対策を何一つ取ることができず、
穀物ショックに何ら打つ手なく手をこまねいているばかりと指摘されている。◆「食糧安保に脅威」 
国連食糧農業機関(FAO)は各国に対し、年間食糧消費量の18%から19%ほどを年末時点での在庫として確保するよう促している。
その程度を確保すれば食糧安保に心配はないということだ。

しかし韓国の主な穀物在庫率(2007年基準)はコメ13.7%、
小麦11.8%、トウモロコシ5.3%、大豆10.6%など、FAOが定める基準をはるかに下回っている。
また国内消費に国産が占める割合(自給率)も、小麦0.2%、トウモロコシ0.8%、大豆13.6%にとどまっており、海外からの輸入に多くを頼っている状況だ。サムスン経済研究所のキム・ファニョン首席研究員は、「国際的な生産不足や各国の輸出統制などが続いた場合、食糧安保に深刻な脅威となる可能性がある」と指摘した。
クム・ウォンソプ記者

世界的な食糧危機、なすすべのない韓国(下)

◆「打つ手がない」 
韓国が食糧危機を克服するには、海外で土地を確保して生産し国内に持ち込むか、
安定した輸入先を確保するなどの対策を取らなければならない。
食糧安保次元での備えを以前から続けてきた日本は、東南アジア・中国・南米など世界各国に1200万ヘクタールの農地を確保している。
日本国内の農地面積の3倍に達する規模だ。
しかし韓国の海外農地開拓は非常にわずかだ。

10の民間企業や団体がロシア沿海州などに数百から数万ヘクタール規模の農地を所有しているが、食糧不足を解消できる次元の規模ではない。
しかし国内での増産も容易ではない。
韓国政府の関係者は「率直に言って、現時点で打つべき手はない」と述べた。
例えば国際小麦価格が上がったからといって、
国内の田畑すべてに小麦を植えよと命令するわけにもいかないし、
国際価格よりも高い国産の穀物に補助金を支給することもできないというのだ。
あらかじめ物量を確保するための先物取引も、必要量全体の30%にとどまっている。
◆後手に回る政府の対応  
韓国政府の最近の対応にもやはり問題がある。
韓国政府は穀物価格が急激に高騰した昨年12月になって初めて、「国際穀物価格上昇対応タスクフォース(特別作業班)」を組織した。
そこで出された対策も、飼料価格の引き下げなどの程度にとどまっている。
生産や需給拡大に向けた根本的な措置は何一つ見られなかった。

大豆や小麦の生産増大については、今年中に研究を外部に委託するというのが対策のすべてだ。
海外に農地を確保して穀物を生産し国内に持ち込むという「海外農業開発フォーラム」も、先月中旬になってやっと発足した。
韓国政府の関係者も、「穀物生産と需給に対する備えが本当に遅れている」と嘆いた。

■食糧安全保障とは 
国民に必要なだけの十分な食糧を持続的に供給することができる能力をいう。
国連食糧農業機関は各国に対し、年間消費量の18‐19%を在庫量として確保するよう促している。

朝鮮日報/朝鮮日報JNS
クム・ウォンソプ記者
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